老後資金に自助努力が必要なのは当然~金融庁の指針案は真っ当です

 

 最近、金融庁が老後の蓄えについて出した「指針案」が話題になっています。

人生100年時代の蓄えは? 年代別心構え、国が指針案

 人生100年時代に向け、長い老後を暮らせる蓄えにあたる「資産寿命」をどう延ばすか。この問題について、金融庁が22日、初の指針案をまとめた。働き盛りの現役期、定年退職前後、高齢期の三つの時期ごとに、資産寿命の延ばし方の心構えを指摘。政府が年金など公助の限界を認め、国民の「自助」を呼びかける内容になっている。

“人生100年時代” 金融庁の審議会が資産形成の指針案

(…)高齢夫婦の世帯では現役世代と比べて支出が減る一方収入も減ることから平均で毎月およそ5万円の赤字になっていると指摘しています。

この赤字が老後の30年間続くとするとおよそ2000万円必要で、退職金と年金をベースに老後を営むこれまでのモデルは成り立たなくなっているとしています。

 この指針案に対して炎上が起きているそうな。

「人生100年の蓄え」国の指針案が炎上 「自助に期待するなら年金徴収やめろ」批判殺到

指針案は、年金だけでは老後の生活費が足りなくなってしまうリスクがあることを政府が認め、国民が自ら資産形成することを促す内容だが、「自助に期待するなら年金の徴収をやめて」などと、政府への批判が集まっている。

 でも、そこまで炎上するほどのものなのか怪しく感じたので、この指針案を検索し実際に読んでみたところ、大変に真っ当なことが書いてありました。あまりに真っ当で、早期リタイア達成者・志望者は読む必要が無いほどに当たり前過ぎる内容ですが、一応リンクを貼っておきます。

「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)

 

★幻想的な夕焼け(東京都青梅市)
★

 

批判者は自助するつもりが無かったの?

 批判者は「自助に期待するなら年金の徴収をやめて」みたいに言ってるみたいですが、

左・吹き出し
セイル

え、あなた自助努力しないの?まさか全て政府におんぶに抱っこのつもりだったの?

と問うてみたい。

 冒頭の朝日の記事では「政府が年金など公助の限界を認め」とありますが、そもそも政府が年金に無限の効能を約束したことなどあったでしょうか。

 年金にしろ、退職金にしろ、もらえる金額は大よそ決まっていて、一人一人の老後資金を100%カバーすることを目指したものではありません。足りない分は、自助努力で貯金なり投資していく必要があることは、少し考えれば分かること。これまでもそうだったし、これからもそう。

 ただ、何もかも自助努力というのは大変に難しく、自助努力のハードルを下げるために年金なり退職金がある。

 全く当たり前の話。

 確かに、これからは年金も退職金も減少傾向にあり、その分、自助努力の部分が大きくなっていくから、早いうちから意識して下さいね、と指針案では述べています。

 嫌な方向の話ではありますが、だからといって

左・吹き出し

年金の破綻を政府が認めた!もう年金は止めろ!

みたいな反応をするのは飛躍があり過ぎます。まさに、0か100かの世界です。

 こういう脊髄反射は、一見危機感を持っているようで、実は一番何も考えていない人だと思います。

年金無しで老後やっていけると思うならやってみたら?

 私は早期リタイアにあたり、老後を含めた資金の計算を行ったので分かるのですが、年金無しで老後資金の設計をするってすごく難しいですよ。それでも、私の場合、貯金や生活上の様々な工夫を長年地道に行ってきたことにより、仮に年金ゼロだったとしても、切り詰めればギリギリ死ぬまで生活できそうではあります。

 ただ、私よりも条件は悪く、年金無しでは到底やっていけない人が多数でしょうに、年金廃止を主張している人は(ネットで見る限り)かなり多い。

 このような人は、

  1. 本当に年金無しでやっていける人(資金に余裕がある、金融リテラシーがある、等)
  2. 年金無しでは到底やっていけないのに、その自覚が無い人。

に大きく分類されるでしょう。1の人は尊敬しますが、大多数は2でしょう。

 老後資金の計算などやったことも無いから、年金を組み入れないで老後生活していくことの困難さも分からない。ただ、冒頭のような記事に煽られて、年金が無くてもその支払額を貯金すれば老後やっていけると無邪気に思っているだけ。

 できるものなら是非やってみてほしいものですが、「自助」しない人にはまず無理でしょうね。公的年金よりも割の悪い民間の個人年金に入るぐらいが関の山か。

2000万という数字の一人歩き

 あと、この指針案には「2000万」という数字が出てきますが、見事に、この数字が独り歩きしていて、

  • 「年金の他に2000万円の準備が必要」と政府が言っている。
  • この2000万円というのは退職金以外でこの額が必要なの?

みたいな話が繰り返されています。

 当然ながら必要な準備額は一人一人によって違う訳で、2000万とか3000万とか一括りに言えるはずがありません。この2000万という数字、指針案を読むと、

60 代以上の支出を詳しく見てみると、現役期と比べて、2~3割程度減少しており、これは時系列で見ても同様である。

しかし、収入も年金給付に移行するなどで減少しているため、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。

(中略)

(2)で述べた収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約1,300 万円、30 年で約2,000 万円の取崩しが必要になる。

となっています。

 要するに、平均的な値をもとに単純計算しただけの、取り立てて深い意味を持つわけではない数字です。こんな数字を真に受けてしまうこと自体、「自分はこんなことも自分で計算・判断できないので、政府が言ったことをそのまま信じるしかないんです」と白状しているようなもの。

おわりに

 今後、年金にしろ退職金にしろ、現在より更に厳しくなっていくことは間違いないでしょう。でも、煽り記事に乗せられて政府に文句を言ったって、何がどう変わるものでもないですよ。

 政府が「自助」を言うと批判するというのは、本当は政府に助けてもらいたくってしょうがないことの裏返し。でも、「天は自ら助くる者を助く」ともいいますし、自助の精神が無い人に対しては、どんなに社会保障が充実していても効果は限定的です。

 面白くないかもしれませんが、金融庁も言っているように、早いうちから老後へ向けた資産形成へ動いた方が利口です。

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