終身雇用・新卒採用はなくならない。トヨタや経団連が何を言おうと。

2019-05-21        |  

 

 ご存知かと思いますが、経団連だけではなくトヨタの社長も「終身雇用を続けていくのは難しい」という発言をしたそうです。

「終身雇用守るの難しい」トヨタ社長が“限界”発言(動画が開きます。注意)

 日本自動車工業会・豊田章男会長:「なかなか終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきたのではないかと」

 その良し悪しはともかくとして、ほころびはかなり生じつつも、終身雇用の根本が崩れてしまうことは無いのではないか、と私は思っています。

 

★建設中のトンネル。標高1400m付近(山梨県甲州市)
建設中のトンネル。標高1400m付近(山梨県甲州市)

 

早期退職募集はトカゲのしっぽ切り

 最近、大企業での早期優遇退職の募集を多く見かけます。あれこそが、終身雇用終焉への序曲だと捉える人もいるでしょうが、私はそうは思いません。

 色々と立ち行かなくなってきているのは事実でしょうが、企業の大多数は、従来の雇用システムを大幅に変革することは望んでおらず、立ち行かなくなってきた部分を臨時にカバーするために、退職募集をしているのではないでしょうか。

 いわば、「終身雇用・新卒採用を維持するためのトカゲのしっぽ切り」です。

新卒一括採用はそのまま

 その証拠に、終身雇用とセットとなっている新卒一括採用をなくしていこう、という動きは、一部を除き見られません。

 それどころか、大学生の就活時期はどんどん早まって、青田買いは過熱するばかり。就活ルールが有名無実化し、同じ経団連会長の口が「就活ルール廃止」に言及せざるを得ない状況です。

 結局、ほとんどの企業は、中途採用は一部に留めて、新卒かせいぜい第二新卒に頼る原則を崩したくないのです(単純労働や事務作業等は除く)。

 もっとも、新卒一括採用の原則を若干緩め、新卒・中途の通年採用も拡大していく方向にはなっています。

専門職育成に通年採用拡大へ 経団連・大学、多様な形態を推進

 協議会が同日発表した中間報告では、新卒一括採用から、能力重視の通年採用など「多様な雇用形態に秩序をもって移行すべきだ」と明記した。(中略)経団連の中西宏明会長は「多様性に向け、いろいろな働き方の仕組みを検討したい」と述べ、終身雇用や中途採用を含め、日本の雇用体系全体の働き方の見直しにつなげたいとの認識を示した。

 ただ、あの程度の就活ルールも守れない人達です。表面的には賛同して例外的に中途採用を取り入れつつも、新卒の原則は固く堅持し、今後も新卒者獲得に邁進し続ける企業が多数となることでしょう。

染みついた横並び・事勿れ意識は変わらない

 これまで、臨時的・例外的な動きを除き、従来の雇用システムを大幅に変革するような動きは起こらないだろう、ということを書いてきました。それは、横並び意識・事勿れ意識が雇用システムにおいても染みついていて、企業の上層部は、敢えてそれらに手をつけるというリスクを冒したくないからだと見ます。

 次の記事が興味深い。 

新卒一括採用・終身雇用は日本人に合っている。だから今後も変わらない

 終身雇用が日本人に合っているのかは私には分かりませんが、記事後半の「新卒一括採用を最初にやめる企業は損をするかも」という部分は、まさにその通りでしょう。

ある会社が「我が社は新卒一括採用をやめる」と言い出したとします。その会社が得をするならば、後に続く会社が出てくるかもしれませんが、その会社は損をする可能性の方が高いのです。(中略)

もちろん、即戦力を採用しようと募集している企業を受けに来る労働者の中にも優秀な人はいるでしょうが、期待値として見れば、優秀でない人である可能性が高いと言って良さそうです。

そうであれば、わざわざ中途採用して他社の企業文化に染まった人を採用するよりも、新卒を一括採用した方が得だと言えるでしょう。

 本当に上記の通りなのか、新卒採用をやめてみなければ分からないことです。ただ、企業自身は恐らくこのように考えており、だからこそ新卒採用を続けているのだと思います。

 そのため、「新卒一括採用をやめる」ことについて、総論は賛成としながらも、自分がその一番風呂に入ることは、頑なに避けようとするわけです。就活ルールがなし崩しになっていったのは、みんな自分だけが損をしたくないからでしたが、それと同じことです。こういう事象を「囚人のジレンマ」といい、数学の研究対象となっています。

  • もっとも、どこかの(従来型)大企業が、通年採用で大成功を収めた事例が発生すれば、雪崩を打ったようにそっちになびき出すのも彼らの習性です。しかし、最初の一社が現れるまでのハードルが極めて高いので、そういうことは起こらないでしょう。 

 そして今後については、

…新卒一括採用が原則として残ると思われます。例外的な中途採用が次第に増えていくことは時代の流れとして考えられますが、原則と例外が入れ替わることは考えにくいでしょう。

とありますが、この見解に賛成です。

 大体、「終身雇用は持たない」と本気で思っているなら、「じゃあそれならどうするのか」という問題について、今から明確なビジョンを持って行動していかなくてはならないはずですが、彼らのしていることって、早期優遇退職の一つ覚えでしなかいですよね。

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