「生前退位」は、早期リタイアに通ずるものがある

2019-05-03        |  

 

 先日退位(譲位)された上皇陛下は既に85歳だそうです。一般国民であれば、極めて高齢での引退ですが、何しろ、終身と思われていた天皇の地位。生前に退位する、ということだけでも「早期リタイア」に通ずるものがあります

 「生前退位」は、「早期リタイア」と同列には扱えないものの、その示唆するところは大きいように思います。

 

★伊勢神宮の鳥居(三重県伊勢市)
伊勢神宮の鳥居

 

過去の皇位継承と「お気持ち」表明

 いきなり歴史の話で恐縮ですが、すぐに本題に行きますので、しばしご辛抱。

 明治維新前で生前退位(譲位)を行った最後の天皇は光格天皇です。在位中、幕府全盛の世にあって、後の明治維新にもつながっていく朝廷の権威の再興に努め、天皇として満を持しての譲位でした。200年も前のことです。

 後に続く、仁孝天皇・孝明天皇は早世、明治天皇・大正天皇・昭和天皇は、皇室典範に譲位の規定がなく、何れも崩御による皇位継承でした。

 大正天皇は晩年体調に優れず、天皇としての職責を果たせない状態であったにも関わらず、譲位の規程や発想がなかったことから、崩御のときまで天皇の地位にあったのでした。

 このように、200年もの間、皇位継承は崩御に伴って行われてきており、生前に譲位するということは、法律上、禁止はされていないが規程もない。

天皇の地位は終身である

という暗黙の了解のなか、平成28年、(国民からすれば)突然に「お気持ち」が表明されたのです。

社会の高齢化と天皇の高齢化

象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば 

社会の高齢化が進む中,天皇もまた高齢となった場合,どのような在り方が望ましいか

 高齢化社会と言われて久しいですが、天皇もまた高齢になるのだ、という当たり前だが厳粛な事実。逆に言えば、高齢からくる諸問題は、天皇固有のものではない、社会全体のものだという、これまた当たり前の事実。

 「社会の高齢化」と「天皇の高齢化」を並べて言及されているところに、意味深きものを感じます。

既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。

 激務なんだろうな、と思う。でも、天皇にしか出来ない仕事が多いから、その位にある限り、80を超えてもその務めを続けざるを得ないが、高齢になればなるほど、それは困難になっていく。

 普通に考えれば、もっと前に位を譲って、若い方にその努めを果たして頂く方がいいに決まっている。新天皇は試行錯誤されつつ、経験者(上皇)からアドバイスを受けられることもできるわけだし。

 日本では、生涯現役を賛美する風潮が強いけれども、少なくとも天皇については、「生涯現役」というのは無理があったということでしょう。

 「お気持ち」の趣旨とは、ずれているかもしれませんが、人がその能力を生かして働いていける年齢には限りがある、という当たり前の事実を、この私は再認識してしまったのです。

生前退位を阻む人々

 「お気持ち」の表明後も、すぐに位を譲ることは出来ませんでした。

 退位のための環境作り(法整備とか)に時間がかかるのは仕方ありません。やっかいなのは、退位自体に反対の人たち。ハッキリ言えば、一部の保守派。

 彼らは極めて観念的で、二重権威になるという理由から、譲位に反対します。何百年も前の天皇と上皇間の権力争いを例にひいて。現代日本でそんなことありっこないのですが。

 実際に象徴の努めを体現する義務のある陛下ご自身は現実を見据えていらっしゃるのに、このような観念的な人達は、皇位継承を考える上で本当にガンだと思いますね。

 それはともかく、辞めたいのに辞めるのを良しとされない状況、口外は決してされないでしょうが、なかなかツライものがあったと思うんですよね。

 そしてこの状況、早期リタイアを良しとされない、今の日本の状況にかぶって見えてしまうのです。

おわりに

 冒頭にも述べた通り、本稿は「生前退位」と「早期リタイア」を同列に扱おうという趣旨ではありません。

 ただ、「いつまで今の仕事を続けていけるのか」というのは非常に重いテーマであり、そのことについてご自身で答えを出し、抵抗に遭いながらも推進していかれた、という事実は、大変に参考になると思うのですが、いかがでしょうか。

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