五木寛之『林住期』~50歳からが人生のクライマックスという話、準備せよ!

2019-04-30        |  

 

 日本に平成や令和といった区切りがあるように、人生にも区切りがあります。その区切りを意識することで、人生にメリハリをつけることができるかもしれません。

 五木寛之はその著書『林住期』のなかで、古代インドの人生区分を述べていますが、これが大変に興味深いもので、アラフィフ(50歳前後)でリタイアを考えている人間にとってバイブルと言ってもいい内容を含んでいます。

 そこで、今日は区切りの日にふさわしく、この本を紹介してみたいと思います。

★五木寛之『林住期』
五木寛之『林住期』

 

古代インドの人生区分

 古代インドでは、人生が「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」に四区分されていたそうです。wikipediaから引用してみましょう。

アーシュラマ

  • 学生期  師のもとでヴェーダを学ぶ時期
  • 家住期  家庭にあって子をもうけ一家の祭式を主宰する時期
  • 林住期  森林に隠棲して修行する時期
  • 遊行期  一定の住所をもたず乞食遊行する時期

 五木は、これを現代日本風にアレンジして、「学生期」を25歳以前、「家住期」を25~50歳、「林住期」を50~75歳、「遊行期」を75歳以降と25年単位に区切り、前半の二期については、次のように述べています。

 「学生期」はいわば青少年時代だ。心身をきたえ、学習し、体験をつむ。そして「家住期」は社会人の時期である。就職し、結婚し、家庭をつくり、子供を育てる。

 皆が皆、このような生き方をするわけではありませんが、現代日本では概ねこの流れに沿った生き方がモデルケースになっているため、前半の二期は分かりやすいのです。

林住期は人生のオマケではない

 問題となるのは、後半の二期ですが、ここでは「林住期」に絞って考えてみることにします。

 wikipediaでは、森林に隠棲して修行する時期となっていますが、現代日本では「第一線を退く」とでも言い換えると、当たらずといえども遠からず、でしょうか。

 ただ、こう表現してしまうと、人生の黄金期はあくまで「家住期」であり、「林住期」はオマケのような扱いに響きます。そうではない、と五木は言います。

 五十歳をはっきりひとつの区切りとして受け止める必要がある、と私は思う。そして、そこから始まる二十五年、すなわち「林住期」をこそ、真の人生のクライマックスと考えたいのだ。

 五十歳から七十五歳までの二十五年。

 その季節のためにこそ、それまでの五十年があったのだと考えよう。考えるだけではない。その「林住期」を、自分の人生の黄金期として開花させることを若いうちから計画し、夢み、実現することが大事なのだ。

 現代日本では、概ね家住期を「現役時代」、林住期以降を「余生」などと呼んでいますが、五木の提言は「”現役時代”は”余生”の準備期間である」ということですから、かなり大胆な発想転換を含んでいます。

 まさに50歳でリタイアを考えている私には「我が意を得たり!」という感じ。以下、思うところを述べていきます。

林住期こそが、自分のために活動できる時期

 wikipediaの解説をよく読むと、林住期は単に第一線を退くことだけを意味していないことが分かります。「森林に隠棲して修行する時期」とあるのですから、単に隠棲するだけでは片手落ちで、「修行」にあたる行動とは何か、ということを考えなくてはいけません。

 私見になりますが、「修行」という行為には自分を見つめる、ということが含まれていると思うんですよね。自分とは何者なのか、自分のやるべきこと・やりたいこととは何なのか。

 言うなれば、家住期の他人ファースト的な発想と行動はおしまいにして、自分ファーストで考え、行動しようということです。

 もちろん、自分ファーストで考えた結果、他人へのボランティアが自分のやりたいことだった、ということもあり得るでしょう。

 でもそれは、自ら考えた末に下した判断。社会や他人から強制され、考える間もなく自分の行動を決めざるを得なかった家住期とは全然違うものですから、それはそれでいい。

林住期が50歳というのは早過ぎないのか?

 五木は、家住期と林住期の区切りを50歳としていますが、現代日本では、定年を60歳や65歳に設定しているのが一般的です。50歳というのはちょっと早過ぎない?

 乱暴な言いかただが、現代に生きる人びとは五十歳で、いったんリタイアしてはどうかと思うのだ。実際には六十歳、それ以上まで働くこともあるだろう。しかし、心は、五十歳でひと区切りつけていいのではあるまいか。

 何と、こんなところに早期リタイアのすすめが書いてある!

 また、区切りの年を、月並みに60歳とするのではなく、敢えて10年も早い50歳としたところに、五木の慧眼があるような気がします。

…「林住期」という第三の人生を、心ゆくまで生きるのが人間らしい生きかたなのだから。

 しかし、そのためには、六十歳を目の前にしてからではおそい。「林住期」は五十歳から始まるのである。定年退職する十年前から、自己本来の生きかたの設計と、その準備を始めておかなければならないのだ。

 時折、定年後に暇を持て余して困っている人の記事を見かけますが、家住期的な発想と行動を、長い間疑うことなく続けてきて、60歳で急にそれを止めろ、と言われても、なかなか難しい、ということでしょうね。

 50歳からは新たなステージに立つんだと認識し、少しずつ発想や行動を切り替えていくことが、その後の人生を「自己本来」のものにする秘訣なのかもしれません。

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